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理学療法士のoutputブログ

認知症短期集中リハビリテーション実施加算「日々のくらしにつなげる認知症リハビリテーション実践ガイド 」を読んで①

老健公益社団法人 全国老人保健施設協会) 編の、

「日々のくらしにつなげる認知症リハビリテーション実践ガイド 」
ご存知ですか??

認知症短期集中リハビリテーション実施加算を取っている施設や、

これから取ろうとしている施設の方は必読です!!

本質と事例について、紹介していきたいと思います。

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目次

 

認知症短期集中リハビリテーション実施加算の算定について

平成18年の介護報酬改定から始まった「認知症短期集中リハビリテーション実施加算」

老健から通所、平成26年には医療保険にも拡大されています。

では算定要件は何があるでしょうか?

老健

認知症短期集中リハビリテーション実施加算の単位は

240単位/日

※入所から起算して3月以内の期間に限り、1週に3日を限度として算定する。

 

【算定要件】

簡単にいうと

・対象はMMSE又はHDS-Rで5〜25点の認知症を有する入所者

・精神科か神経内科か研修を受けた医師が指示を出す。

・PT,OT,STのいずれかが、計画を立てて、20分以上個別でリハビリをする(認知面へのアプローチ)

 

以下は「日々のくらしにつなげる認知症リハビリテーション実践ガイド 」より引用

ア 認知症短期集中リハビリテーションは、認知症入所者の在宅復帰を目的として行うものであり、記憶の訓練、日常生活活動の訓練などを組み合わせたプログラムを週3日、実施する事を標準とする。

イ 当該リハビリテーション加算は、精神科医師若しくは神経内科医師又は認知症に対するリハビリテーションに関する専門的な研修を修了した医師により、認知症の入所者であって生活機能の改善が見込まれると判断されたものに対して、在宅復帰に向けた生活機能の改善を目的として、リハビリテーション実施計画に基づき、医師又は医師の指示を受けた理学療法士作業療法士又は言語聴覚士が記憶の訓練、日常生活活動の訓練などを組み合わせたプログラムを実施した場合に算定できるものである。なお、記憶の訓練、日常生活活動の訓練などを組み合わせたプログラムは認知症に対して効果の期待できるものであること。

ウ 当該リハビリテーションに関わる医師は精神科医師又は神経内科医師を除き、認知症に対するリハビリテーションに関する研修を修了していること。なお、認知症に対するリハビリテーションに関する研修は、認知症の概念、認知症の診断、および記憶の訓練、日常生活活動の訓練などの効果的なリハビリテーションプログラムなどから構成されており、認知症に対するリハビリテーションを実施するためにふさわしいと認められるものであること。

エ 当該リハビリテーションにあっては、一人の医師又は医師の指示を受けた理学療法士作業療法士又は言語聴覚士が一人の利用者に対して行なった場合のみ算定する。

オ 当該リハビリテーション加算は、利用者に対して個別に20分以上当該リハビリテーションを実施した場合に算定するものであり、時間が20分に満たない場合は、介護保険施設サービス費に含まれる。

カ 当該リハビリテーションの対象となる入所者はMMSE(Mini Mental State Examination)又はHDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)において概ね5点〜25点に相当するものとする。

キ 当該リハビリテーションに関する記録(実施時間、訓練内容、訓練評価、担当者等)は利用者ごとに保管されること。

ク 短期集中リハビリテーション実施加算を算定している場合であっても、別途当該リハビリテーションを実施した場合は当該リハビリテーション加算を算定することができる。

ケ 当該リハビリテーション加算は、当該入所者が過去3月の間に、当該リハビリテーション加算を算定していない場合に限り算定できることとする。

通所リハビリテーション

認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅰ)

退院(所)日又は通所開始日から起算して3月以内

240単位/日

 

認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅱ)

退院(所)日又は通所開始日の属する月から起算して3月以内

1,920単位/月

 【算定要件】

簡単にいうと

・対象はMMSE又はHDS-Rで5〜25点の認知症を有する利用者

・精神科か神経内科か研修を受けた医師が指示を出す。

・(Ⅰ)と(Ⅱ)の2種類がある

認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅰ)

・リハマネ加算(Ⅰ)〜(Ⅳ)を算定していること

・1週間に2回を限度とし、20分以上の個別リハビリをする

認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅱ)

・リハマネ加算(Ⅱ)〜(Ⅳ)を算定していること

・1月に4回以上実施し、個別でも集団でも良い(計画書に時間、頻度、方法、場所を記載)

・利用者の居宅を訪問し評価を行う。それを家族に伝える。

以下は「日々のくらしにつなげる認知症リハビリテーション実践ガイド 」より引用

ア 認知症短期集中リハビリテーション実施加算におけるリハビリテーションは、認知症を有する利用者の認知機能や生活環境などを踏まえ、応用動作能力や社会適応能力(生活環境へ適応する等の能力をいう。以下同じ)を最大限に活かしながら、当該利用者の生活機能を改善するためのリハビリテーションを実施するものであること。

イ 認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅰ)は、精神科医師若しくは神経内科医師又は認知症に対するリハビリテーションに関する専門的な研修を修了した医師により、認知症の利用者であって生活機能の改善が見込まれると判断されたものに対して、通所リハビリテーション実施計画に基づき、1週間に2日を限度として、20分以上のリハビリテーションを個別に実施した場合に算定できるものである。なお、当該リハビリテーションの提供時間が20分に満たない場合は、算定はできないこととする。

ウ 認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅱ)精神科医師若しくは神経内科医師又は認知症に対するリハビリテーションに関する専門的な研修を修了した医師により、認知症の利用者であって生活機能の改善が見込まれると判断されたものに対して、通所リハビリテーション実施計画に基づき、利用者の状態に応じて、個別又は集団によるリハビリテーションは1月に8回以上実施することが望ましいが、1月に4回以上実施した場合に算定できるものである。その際には、通所リハビリテーション計画にその時間、実施頻度、実施方法を定めた上で実施するものであること。

エ 認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅱ)における通所リハビリテーション計画の作成にあたっては、認知症を有する利用者の生活環境に対応したサービス提供ができる体制を整える必要があることから、利用者の生活環境をあらかじめ把握するため、当該利用者の居宅を訪問すること。

オ 認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅱ)における通所リハビリテーション計画に従ったリハビリテーションの評価に当たっては、利用者の居宅を訪問し、当該利用者の居宅における応用動作能力や社会適応能力について評価を行い、その結果を当該利用者とその家族に伝達すること。なお、当該利用者の居宅を訪問した際、リハビリテーションを実施することはできないことに留意すること。

カ 本加算の対象となる利用者は、MMSE(Mini Mental State Examination)又はHDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)において概ね5点〜25点に相当するものとするものであること。

キ 本加算の算定にあたっては、リハビリテーションマネジメント加算の算定が前提となっていることから、当該加算の趣旨を踏まえたリハビリテーションを実施するよう留意すること。

ク 本加算は、認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅰ)についてはその退院(所)日又は通所開始日から起算して3月以内の期間に、認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅱ)についてはその退院(所)日又は通所開始日の属する月から起算して3月以内の期間にリハビリテーションを集中的に行った場合に算定できることとしているが、当該利用者が過去3月の間に本加算を算定した場合には算定できないこととする。

 

 

 

押さえておきたい「ICF

国際生活機能分類ICF:International Classification of Functioning,Disability and Health)は人の生活機能と障害の分類法として、2001年5月に世界保健機関(WHO)総会で採択されました。

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出典:文部科学省HP http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/032/siryo/06091306/002.htm

 

ICFを抑えておきたい理由

なぜ認知症短期集中リハビリテーションICFが重要なのかを以下に述べていきます。

ICIDHとの比較から見えてくる事

 ICFが採択される前の従来のWHO国際障害分類(ICIDH:International Classification of Impairments,Disabilities and HAnficaps 1980年採択)との比較

ICIDH

DISEASEorDISORDER

(疾患・変調)

Impairment

(機能・形態障害)

Disability

(能力障害)

Handicap

(社会的不利)

ICIDHは障害という「マイナス面」の分類

ICFの評価は「プラス面」

つまりは「マイナス面」を克服するだけでなく、「プラス面」を発展させる事で、障害・疾患を持ちながら、QOL(生活の質)を高めることが可能であるという考え。

また、ICFでは障害の克服を機能回復だけでなく、人や環境との相互作用があり、そこを重視しています。

特に物的環境、人的環境、社会的・制度的環境といった「環境因子」を重視しており、そこもリハビリテーションの重要な役割ともいえます。

認知症とは現代の医学では機能回復は難しい

いくら薬を使おうが、予防をしようがなるものはなるのが「認知症」だと思います。

診断を受けたときに、進行を遅らせることも大事ですが、ご本人様にあわせ、周りの環境を変えていくことも、重要なリハビリ職の役割だと思います。

だからこそ、ICFの考えに基づき。リハビリテーションプランをたてることが、認知症短期集中リハビリテーションを行う上で、大変重要だと考えます。

 

ICFに基づく認知症の理解

 

認知症で論点になるのは

認知障害

・生活障害

・BPSD

・老年症候群による変化・薬物の副作用を含む影響

・介護負担 

これらをICFの枠組みで理解します。

また、発症時からの経過を踏まえながら、現在の状況をICFの枠組みで分析することが、予後予測に基づく支援の組み立てに有効と言えます。

 

心身機能、活動、環境に働きかけ、また家庭・地域・社会での関係性を再構築することで、

認知症でありながらも人として豊かな毎日を送っていくっこと認知症リハビリテーションの目的です。

 

認知症リハビリテーションのアセスメント

認知症の方への評価とは

HDS-RやMMSEの点数が浮かぶと思います。

(HDSーRやMMSEについては↓リンク参照)

HDSーR(長谷川式簡易知能評価スケール) - g-note(Genmai雑記帳)

 ミニメンタルステート検査 - Wikipedia

 

しかし、これだけでは不十分です。「在宅で安心して生活を継続できるかどうか」をふまえてアセスメントしなくてはいけません。

そのためには以下のアセスメントが必要です。

1、医学的評価を含めた全体のアセスメント

2、リハビリテーションの開始前のベースラインアセスメント

3、介入中の中間アセスメント

1、医学的評価を含めた全体のアセスメント

認知症にはアルツハイマー型、レビー小体型、血管性、前頭側頭型があり、それぞれ特徴があります。(アルツハイマー型はFASTの分類も参照)

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出典:日々のくらしにつなげる認知症リハビリテーション実践ガイドp18

また、段階によっても現れる症状が違います。家族への聞き取りによる症状の変化や、MRIやCTによる、脳の萎縮・梗塞の変化も重要です。

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出典:日々のくらしにつなげる認知症リハビリテーション実践ガイドp17

 

2、リハビリテーションの開始前のベースラインアセスメント

標準化された評価と、その人の生活上の課題解決をゴールとするリハビリテーション実施のために、より詳しい個別の評価が必要となります。

・認知機能

記憶、見当識、実行(遂行)機能の評価が必要です。

HDS-RやMMSE、コミュニケーションの評価(失語症含む)やICFステージング(R4システム)での評価もあります。(R4について:

http://www.roken.or.jp/r4/free/r4_v203/ICF_staging_manual_201505.pdf

・BPSDの把握

様々な困った症状(拒否的・暴力的・不活発など)を評価することは単に点数化することは難しいです。定量的ではなく、それぞれの状態をしっかり把握することが大切です。

評価方法として、「DBD13」「NPI」があります。

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出典:日々のくらしにつなげる認知症リハビリテーション実践ガイドp23
・身体機能およびADL・IADL

FIMやBarthel Indexが代表的なものとしてあります。

認知面にも配慮した評価として、ICFステージング(R4システム)が適しているとのこと(全老健が押している評価なので、よく出てきます)

http://www.roken.or.jp/r4/free/r4_v203/ICF_staging_manual_201505.pdf

・対象者の生活歴・趣味・嗜好の把握

ICFにでてくる「参加」「環境因子」「個人因子」を知る上で大変重要になってきます。これを知ることで、具体的なアクティビティを伴ったプログラムの立案が可能になります。

・環境の調査および家族負担感の把握

認知症の方が在宅で生活を続けるためには、家庭環境・家族が大変重要となってきます。自宅訪問による実際に生活する場面の評価が必要です。

家族の負担感についてはZaritのスケールもありますが、これだけでは不十分ですので、家族ともコミュニケーションをとって把握していくことが必要となります。

Zaritのスケール - Google 検索

個別の評価

上記は「標準化された評価」を述べてきましたが、

個人個人に合わせた評価も必要となってきます。

・どの段階が困難か観察・評価・分析

排泄一つとっても、どの部分で困難なのか観察から、評価・分析が必要となってきます。尿便意が有るのかに始まり、排泄はトイレでするということがわかっているのか、トイレの認識、場所の記憶、移動方法、更衣、など細かく動作を見る必要があります。

・課題を決める

困難な場面がわかってもそれが実際に課題(ゴール)になるかはわかりません。

例えば、着衣が困難なご主人がいたとして、その奥様が長年服を着させる手伝いをしてきた、その延長で負担を感じないのであれば、着衣を自立させることは課題(ゴール)にはなりません。

そのかたの生活スタイルも見極めて、本人達が希望するスタイルに沿うことが肝要です。

・家族の関係性や介護力を評価する。

在宅で生活を続けるには家族の協力が必要不可欠になります。家族の精神的サポートも重要となってきます。

・近所のサポート・地域の社会資源を評価する。

サービスの利用により、生活が続けられる場合もあります。これらのアセスメントにより、課題を検討していく必要があります。

3、介入中の中間アセスメント

やはり、介入すれば良くも悪くも変化します。PDCAサイクルを実施し、常に評価しながらゴールに向かって最適な介入を実施していくことが重要です。

 

①ということで、ここまでになります。

次回は実際のプログラムと事例について紹介しています。

www.rabichange.com

内容については

全て「日々のくらしにつなげる認知症リハビリテーション実践ガイド 」から参考にしています。

 

 

認知症短期集中リハビリテーション実施加算は老健がメインですので、老健について知りたい方は、以下の記事も参考にしていただけると嬉しいです!

www.rabichange.com

 

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