RABI

理学療法士のoutputブログ

リハビリの給与に関して考える③(老健と通所サービスはどうか)

サクラ

 

今回は介護保険分野でも、老健と通所サービス(通所リハ)に焦点を当てて書いてみます。

 

リハビリの給与に関して考える①と②は↓にリンクを張っていますので、そちらもご参考にしてください。

www.rabichange.com

www.rabichange.com

 

 

老健の場合

老健とは

老健とは「介護老人保健施設であり、ざっくり言うと

病院を入院し、医療的には大丈夫で退院するけど、家に帰るにはまだ不安だなって方がリハビリを目的に在宅を目指す、

病院と在宅をつなぐ「中間施設」が本来です。

あくまで、『本来』ですので、現実部分はまた今度に述べます。

 

その老健ですが、大抵は「通所リハビリ」(デイケア)も行なっています。訪問リハビリをやっているところも多いです。

 

老健というと、+デイケア(+訪問リハ)と思ってもらった方が良いです。

 

年収の相場 

老健の求人について相場がどれくらいか見てみたいと思います。

indeedなどの求人情報サイトなどにものっていますが、

 

私が2018年5月ごろに転職サイトに登録し、

6件ほど老健の非公開求人情報がきましたので、

その情報でみると以下の通りでした。(情報は奈良県です。)

月給:200,000円~300,000円

年収:350万円〜500万円(400万円前後が多い)

理学療法士を取り巻く状況について ~第一回検討会の議論を踏まえた追加データを中心に~

出典:理学療法士を取り巻く状況について ~第一回検討会の議論を踏まえた追加データを中心に~内山靖

という風にあるのですが、

病院とはさほど変わらない印象です。(機能訓練指導員を含むのが下げている原因??真相はわかりませんが。)

 

ちなみに、転職サイトの情報を見て思ったのは、

求人情報はいくつもありますが、表向きの情報ではわからない部分(月給は高いけど、ボーナスは低かった。残業代も含まれている。福利厚生があまりない。など)も多いので、しっかりと事前に細かなとこまで、聞いておいた方が良いです。

 

転職サイトはいくつかあり、それぞれがもっている求人情報は多少違う(らしい)です。

また、対応してくれるのも人なので、合う合わないはあると思います。いくつか登録しといて、良いところを選べばなと思います。

あとは学生さんも登録できるところ(PTOT人材バンクもあるので、新卒の方の就活にも使うと大変便利だと思います。(就活の時期は国試に研究と苦労しました)

 

PTOT人材バンク

 

PT/OT/STの転職紹介なら【マイナビコメディカル】

 

転職時の体験談と注意点ものせていますのであわせてみてください。↓ 

www.rabichange.com

 

 

老健でのリハビリ職が得られる加算はどれだけあるの?

 加算とは?

病院での点数は、介護保険では単位で表します(1点≒10円 1単位≒10円)

そして、介護保険を使用するサービスの多くは

「基本料」と「加算」があると覚えておいてください。

 

例えば老健の施設に入所する基本料があり、

そこにリハビリを受ける場合はリハビリの加算(短期集中リハビリテーション実施加算)が加わります。

ある一定の期間(入所から3ヶ月)を過ぎると、このリハビリの加算は基本料に含まれます。いわゆる「包括化」(まるめ)というやつです。

 

リハビリの加算は何があるのか?

老健で得られるリハビリの加算は

①短期集中リハビリテーション実施加算

短期集中リハビリテーション実施加算は、入所または退院、退所間もない者に対し、早急かつ集中的な介入の促進を目的として、ADLの維持や向上のためのリハビリテーション実施により加算されるものです。

入所者に対し、その入所日から起算して3ヵ月以内の期間に、医師もしくは医師の指示を受けた理学療法士等が、集中的にリハビリテーションを行うこと。 集中的なリハビリテーションとは、1週間におおむね3回以上、一日当たり20分以上実施されていなければなりません。

介護老人保健施設:240単位/日

【加算減算】短期集中リハビリテーション実施加算とは?|介護ソフト(介護システム)なら「カイポケ」より引用

 

 ②認知症短期集中リハビリテーション実施加算

高齢者にとって生活に必要な機能の維持は、その人らしく尊厳ある生活を送るためには必要不可欠で、当然ながら、それは認知症を持つ高齢者にも同じことが言えます。
そして、その生活機能の維持のためには、専門職の実施するリハビリテーションが有効になります。
今回ご紹介する認知症短期集中リハビリテーション実施加算は、認知症を持つ高齢者に対して、短期間かつ集中的にリハビリテーションを行った際に加算されるものです。通所リハビリテーションの場合には、算定要件の異なる(Ⅰ)と(Ⅱ)があります。

認知症であると医師が判断し、リハビリテーションによって生活機能の改善が見込まれると判断された者に対し、理学療法士作業療法士言語聴覚士が集中的なリハビリテーションを行うこと。

退院、退所または通所開始日から起算して3ヵ月以内

介護老人保健施設:240単位/日(週3日限度)

【加算減算】認知症短期集中リハビリテーション実施加算とは?|介護ソフト(介護システム)なら「カイポケ」より引用(一部改変)

 認知症短期集中の場合は認知症があり、医師の判断とリハビリの指示が必要です。

その為に取っていない所も多いかもしれません。

 

平成30年度の介護保険法改正で「退所前後訪問指導加算」が包括化されました。

ですので、老健でリハビリが関わる加算は、とりあえずはこれだけです。(言語聴覚士の場合は口腔機能維持加算あり)

加算に関しては↓をご参照ください。

https://www.pt-ot-st.net/contents4/nursing-care-30/wp-content/uploads/sites/3/2018/01/263311af23d3396efaa3261597295b8c.pdf

また、平成30年度の介護報酬改定事項については↓もご参照ください。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000196994.pdf

 

リハビリだけの加算を収益に計算してみる 

老健の場合、短期集中リハビリテーション実施加算と認知症短期集中リハビリテーション実施加算があると述べました。

認知症のご利用者様がいたとして、その場合には

週に3〜7回短期集中リハビリテーション実施加算と

週に3回認知症短期集中リハビリテーション実施加算、最大10回

240単位の加算を頂くリハビリが行えます。

 

じゃあ毎日20人(医療でのリハビリの上限は週に108単位までだったが、介護保険の場合リハ職の実施する上限は特に明記されていないのでいくらでも取れる)短期集中見たら、がっぽり儲かるよね!と思うかもしれませんが、そうはいきません。

 

何故ならば、入所から3ヶ月までと期限が決められています。

さらに、3ヶ月を超えたらリハビリの加算は“0”(包括化)となります。

しかも、週に2回(そのうち1回は集団でも可)もしくは週3回の個別リハを実施しないといけません。(週に2回か3回かは施設の基準で決まる。)

 

いくら頑張って入所退所を回している施設でも、1/5(100床であれば20人)程度しか短期集中リハビリテーション実施加算の対象者はいないと思いますので、仮に20人毎日リハビリをするならば、12人は短期集中リハビリテーション実施加算対象で8人は加算なしのリハビリになります。

 

ということは

一日に12人(240単位/人)週5勤務(実働で年間250日)で働くとしましょう。

 

(12人×240単位×250日)×10円 となりますので

 

(12×240×250)×10=7,200,000

 

720万円でした。

 

 

老健にお勤めの方はわかると思いますが、

これは結構頑張っている施設を想定しての数字です。それでも加算だけではこのくらいです。

 

 場合によっては短期集中リハビリテーション実施加算を、人員が足りていないから全く取れないという所も聞きます。

(施設基準上は100床に対してPTまたはOTまたはSTが1人で良い。)

 

 

ちなみに老健での人件費率も病院と同様に50%くらいなので、リハビリ職の給料はもらえるのって350万円くらい!?ってなりますよね。

老健でのリハビリの位置とは?

老健ではリハビリが頑張る事で実は基本料が上がります

老健 算定要件

出典:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000196994.pdf

老健の基本報酬は「超強化型」「在宅強化型」「加算型」「基本型」「その他型」の5段階で決められており、「超強化型」が一番報酬が高くなっています。その代わりに条件は厳しいです。

 

上図の左下にある①〜⑩の項目をいかに満たしていくかが重要なポイントですが、リハビリとして関わる一つが「在宅復帰率」になります。

 

在宅復帰率とは文字通り、「在宅生活に復帰していただく」事です。

冒頭にもありましたが、老健の本来の役割は「病院と家とをつなぐ中間施設」です。

 

どうやって家につなげるかがポイントになります。

 

なんせ、すんなり帰れる方は病院から、家に帰っています。

出来ないから老健へ来たわけで、そこからいかに家に帰れるようにするかが難しいです。

 

家に帰ってもらわないと、基本報酬が下がりますのでこっちも必死です。

 

老健でのリハビリ加算と老健という所から見えてくるリハビリの役割

リハビリの加算だけでの給料だと正直絶望的です。では何故リハビリを雇っているのか?

それは基本報酬を上げるためが大きな目的の一つです。

 

リハビリを行い、在宅復帰を支援する。結果として、在宅復帰率をあげ、ベッド回転率を上げる。これが経営側から見る老健でのリハビリ職の使命だと思います。

 

病院からすんなり家に帰れなかった人たちが来るのがほとんどです。それは本人の障害が原因であったり、家族の受け入れが原因だったりと色々です。

そこをわかって、本人・家族に安心して家に帰って頂くことを目的としなくてはいけません。

 

これが老健で働く理学療法士の大きな役割だと思います。それが出来てこそ、いかに老健に大きな貢献をしているのか、価値があるのかをアピールして給与交渉に臨まれると良いかと思います。

 

通所サービス(通所リハビリ)の場合はどうか。

通所サービスでもリハビリ重視の通所リハビリ(デイケア)で考えていきます。

 

加算について見てみる

リハビリの関わる加算は色々とあります。

①短期集中個別リハビリテーション実施加算

認知症短期集中リハビリテーション実施加算

リハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ)〜(Ⅳ)

④生活行為向上リハビリテーション実施加算

リハビリテーション提供体制加算

たくさんあって正直ややこしいです。

加算の一覧については↓をご参照ください。

https://www.pt-ot-st.net/contents4/nursing-care-30/wp-content/uploads/sites/3/2018/01/d33f8be03f812d904790ac1d20eb494c-1.pdf

 

デイケアの加算のここおかしい !?

 デイケアにも短期集中リハビリテーション実施加算があるかと思いきや、

短期集中個別リハビリテーション実施加算

 

と個別が入ります。

通所リハビリテーション・訪問リハビリテーションにおける短期集中(個別)リハビリテーション実施加算とは、退院、退所日等から3月以内の利用者に対して、身体機能の回復するための集中的なリハビリテーションを個別に実施することを評価する加算です。
入院、入所中にリハビリテーションを受けていた方は、退院、退所直後に機能が低下することがあり、それを防止するために、退院、退所後できるだけ早期に訪問・通所リハビリテーション等でリハビリテーションを受けることが効果的であると考えられています。 

算定要件は以下

リハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ)から(Ⅳ)までのいずれかを算定していること

・医師または医師から指示を受けた理学療法士作業療法士言語聴覚士リハビリテーションを行うこと

・退院、退所日または認定日から起算して3月以内に集中的に個別リハビリテーションを行うこと

・個別リハビリテーションを1週につきおおむね2日以上、1日あたり40分以上実施すること

 加算:110単位(1日あたり)

【加算減算】短期集中(個別)リハビリテーション実施加算とは?|介護ソフト(介護システム)なら「カイポケ」より引用(一部改変)

であり、40分で110単位(1100円程)

 

同じ人でも、リハビリを受ける場面で料金は変わります。

例えば脳梗塞の方が

病院でリハビリを受けると

20分 245点(2450円程)

老健だと3ヶ月間は

20分 240単位(2400円程)3ヶ月以降はまるめ

訪問リハビリでは

20分 290単位(2900円程)

通所リハビリ(退院・退所後3ヶ月)

40分 110単位(1100円程)3ヶ月以降はまるめ

 

通所リハビリだけ何故こんなにも低いのだろう。と思ってしまいますね正直。

それでもこの短期集中個別リハビリテーション加算をやっているかは、ケアマネジャーさんからよく聞かれます。

退院直後の方にはリハビリをメインに希望される方が多いからであり、

病院のリハビリは個別で1日3時間とかやっていた方には、

個別で長く関わってほしいと望まれる方が多いからです。

やっているとケアマネジャーさんからの受けは良いです。

通所リハビリでのリハビリは?

しかし、通所リハビリでのリハビリ対象者の大半は短期集中個別リハビリテーション実施加算の対象者ではありません。

 

加算の主は

リハビリテーションマネジメント加算

になります。

加算は一人につき月に1回までですが、

額は330単位〜1220単位/月となります。↓

リハビリテーションマネジメント加算 点数

http://ads.kaipoke.biz/basic_knowledge/care_insurance_and_law/addition_subtraction/about_rehabilitation_management.html

加算の条件はザックリ言うと

①リハビリ会議をすること

②医師が説明すること

③国にデータを提出すること

詳しくは↓をご覧ください。

ads.kaipoke.biz

 

100名登録がある通所リハビリ(100名の登録であればだいたい、1日利用は30〜40人程度)であれば、全員にリハビリテーションマネジメント加算の(Ⅲ)をとったとすると、

1120単位×100人×10円=1,1200,00から

800単位×100人×10円=800,000

 

月に112万円〜80万円となります。

 

すごい儲かるじゃないか!と思った方もいてるかもしれませんが、続きを読んでください!!

 

 

通所リハビリのマネジメント料はどこに消える

手間暇かけてやってます。

 まず、書類が必要です。

プロセス管理表

プロセス管理表 リハビリテーションマネジメント加算に関わるところ

上図のように、リハビリテーションマネジメント加算を取るには赤丸の所を加えてやる必要があります。

 

会議や居宅訪問を行い、必ず書類を作らないといけません。

普段のリハビリも行なって、利用者のことを把握して

一人でこの加算が取れるのは40人くらいが限界と私は思います。(開始6ヶ月を過ぎると、3ヶ月に1度の会議・訪問で良くなるので、月に20人弱)

 

しかも、段取りなど事務員の方に協力してもらう事も多いのと、医師が必要です。

 

それだけ人件費もかかります。

 

正直、頑張って取るより、利用者を一人増やす方がコスパは良いんじゃないかって思います。

 

通所リハビリの役割

リハビリテーションマネジメント加算は平成27年度に新設された加算です。

 平成30年度の改正においても細かく分け、加算の値も大きくなりました。

平成27年度にはもう一つ、個別リハビリはまるめとなり、時間の制約もなくなりました。撤廃されています。(それまでは20分のリハビリに対する個別リハビリの加算があった。)

 

何が国は求めているのか、それはマネジメントです。

 

マネジメントとは、ただ利用してマッサージを受けるのではなく、目標をしっかりと持ち、生活全体を見て、それを仕切りなさいよ!と言う事です。

 

通所リハビリでは個別でリハビリを行うよりも、その方の身体機能、ADL・QOL評価を行い、生活すべてに関わると言う事です。

 

結局、老健・通所リハで給与を上げようと思えばどうするの?

この二つともは病院や訪問と違い、リハビリの加算だけでは給与は考えらません。

 

どうやって

利用者を増やすのか

より良くなってもらい介護量を維持・減らしていくかに重きが置かれています。

 

利用者の方の身体機能とその方を取り巻く環境を理解できるのは正直リハビリ職でないとできないと私は思います。

 

全体を仕切って回していく中心になれるかが、真価を問われます。そういった考え方を見つけ、職場に貢献する事で給与upが行えると考えます。

 

実際に老健やデイでは所長がリハビリ職という所も多いです。

リーダーになりやすいポジションであるので、老健やデイで働き、給与upも狙いたい方は、リーダー力を磨き、上を目指してください。

そうすれば年収500万円以上も現実的に見えてくるかと思います。(管理職にはなります)

 

 

まとめ 

老健や通所リハビリではリハビリの加算だけで給与を考えることはできない。

・通所リハビリで加算を上げるのは手間もかかるし、人件費もかかる。

・求められているのはマネジメント力

・役職を狙うしかない!

最後に老健、通所リハビリについて

 

老健、通所リハビリの経験もありますが、

老健・通所リハビリは、やりがいもあり、かなり楽しいです。

(訪問リハビリでも同じことを言いました。)

 

 

 求められているものは、その人や家族などが直接どう過ごしたいか!です。

正直、身体機能は大きくは変わりありませんので、どうやって環境を変えたり、介助指導を行うかがキモです。

病院でもう無理だと言われたことを覆すのは快感です!

 

あとは、色々な業種の先頭に立つ事も多いので、

リーダーシップが磨かれます

 

バイトも募集しているところが多いので、転職前に見てみるのも一つではあります。

老健や通所リハビリの転職に興味が湧いた方は↓も参考にしてみてください。

 

www.rabichange.com

www.rabichange.com

  

 

本日も読んでいただいた方、ありがとうございました。

今後が気になるかた下をポチッと押してください。