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理学療法士のoutputブログ

プラセボ(プラシーボ)効果とは?代替医療の正体を科学的視点から見てみよう。

血液クレンジング・水素水・ホメオパシー療法 世の中には効果が確かではないような代替医療が横行しています。

しかし、それには一定数効果があった方の報告もあり、すべての人が嘘をついているとも思えません。だからってこれらに効果が本当にあるのでしょうか?

「それってプラセボじゃないの?思い込みだよw(プラセボとプラシーボは同義であり、このブログ内では"プラセボ"で統一)」

「病は気から、気持ちをもてば病気なんて治る。」

果たしてこれらには科学的根拠はあるのでしょうか?

今回は科学ジャーナリストでもあるJo Marchant=著の

『「病は気から」を科学する』を参考にプラセボの効果についてみていきたいと思います。(これ絶版なのでプレミア価格 少しずつ値段上がっている本でございます)

 ※記載している内容は著書の一部であり、引用部と私個人の解釈を合わせて記載しています。 

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ホメオパシー医療とは?

まずは、代替医療の代表格である「ホメオパシー療法」についてみていきましょう。

ホメオパシーとは代替医療の一種であり、生物や鉱物などに由来する自然の物質を水で希釈し、それを砂糖玉に染み込ませたものを薬(レメディ)として服用します。自然由来なので、近代西洋医学に不安や反感を持つ人の間で支持されています。しかし、この"希釈"がハンパありません。10倍に希釈してさらにまた10倍に希釈してを繰り返し、最終的に10の60乗倍になる。

ということは1那由多の希釈です。

数字で表すと

1000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000倍に希釈します。

これは、もはやただの水といってもいいでしょう。ただの水を砂糖に染み込ませているだけなのですから、効果も何もありません。

 このことについて、日本学術会議は声明を出し、日本医師会及び日本医学会も賛同しています。

jams.med.or.jp

だけどもだけども、2020年になる今でも、ヨーロッパではホメオパシー療法は一般的な医療であり、日本でも「日本ホメオパシー協会」なるものがあります。

なぜ効果がないと言われたものが今でもあるのか?

一方的にホメオパシーに効果がないと言い切るのも科学的ではないのですが(ただの砂糖玉に水染み込ませいるだけのものだけど)

そこにはやはり、効果が確認できた方がいるからではないでしょうか。

ホメオパシーの効果については科学的に否定されています。

そこに効果があるのは、プラセボ(偽薬)です。思い込みの力が効果を生み出しているのです。

ちなみにプラセボ薬として売っているものもあります。

プラセボ効果

プラセボとは?

 プラセボ(偽薬)とは何でしょうか?薬の開発時の臨床実験で、新薬とプラセボとを比較し、新薬の有効性を確かめたりします。

例えば、頭痛を抑える新薬を開発した時、頭痛のある方を二つのグループにわけ、片方に新薬、片方にプラセボ(ただの錠剤)を与えた時、二つのグループの頭痛の治り方に有意差がないと新しく薬とは認められません。

ただ、この時にプラセボの群の何割かにも効果が出たりします

 

眠れない方に、睡眠薬と偽ってラムネ菓子を渡したりします。グッスリ寝れたりします。

プラセボとは何でしょうか?どうやら

 

 プラセボは効果がないわけではない という事です。

 プラセボが効いた事例

自閉症を改善させたのはセクレチンなのか?

1996年自閉症の子が腸の検査の後に自閉傾向が改善した。

親は検査の際に"セクレチン"という消化管ホルモンの投与が影響を及ぼしたと確信した。その後も投与を医師にお願いし、その他の自閉症の子に良い影響を及ぼした。

200名に投与した結果、半数以上に良い結果をもたらした。

セクレチンを連続して投与することの安全性について十分でないことからも、臨床試験が行われた。無作為に2群に分けられ、片側はセクレチン、もう片側には生理食塩水が注射され、投与された。

結果は・・・2群において有意差はなかった。(1999年12月「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」掲載↓)

自閉症および広汎性発達障害の治療における合成ヒトセクレチン単回投与の有用性の欠如 | 日本語アブストラクト | The New England Journal of Medicine(日本国内版)

ここには「セクレチンの単回投与は自閉症に効果のある治療ではない」と記載されているが、実は両群ともに著しい改善を見せたのだった。 

親の期待に対してただの幻想ではなく、客観的評価による数値が改善したとのこと。 

直接的な効果が確認できない物が、結果として効果を及ぼしたという事例であります。

 

長年苦しめた腰痛

 75歳のボニーは、キッチンで足を滑らせ背中から倒れ込み、背骨にヒビが入った。彼女はゴルフもしていた程活発出来だったが、そこからは背中の痛みに悩まされ、夜も眠れないほどだという。数ヶ月後、ボニーは椎体形成術と呼ばれる有望な外科手術の臨床試験に参加した。手術後、ボニーは病院から出た途端に具合が良くなった。「すばらしい気分だった」とボニーは言う。「本当に痛みが消えていた。ゴルフもまた始めたいし、したいことが何でもできたの」それから十年、背中の痛みのせいで彼女の行動が制限されることはない。椎体形成術がボニーの日々の入った背骨の問題を解決したのは間違いない。ただ、ボニーが知らないことがある。彼女が受けた手術は偽物だったのだ。

これはまさに痛みが、局所的な問題ではなかったという一例です。有名な先生に画期的な手術を受けたんだという思い込みが、痛みを取り除いたプラセボの例なのです。

腰痛の多くは非特異的腰痛(画像所見などでの原因が特定できない)と言われています。

痛みに関してはBPSモデルから見ないといけないことがわかる症例かもしれませんね。

BPSモデル

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BPSモデル
ノセボ効果の例 

ビビハジェラ高校のある教室で、誰かがおかしな臭いがすると言い出した。少女たちは次々と吐き気とめまいに襲われ、気を失った。数時間のうちに、100名以上の生徒と教師が病院へ運ばれた。地元警察の広報官カリルラ・アセルは犯人に確信があった。「アフガニスタン人には分かっている。こんなことをするのはテロリストかタリバンだ。少女たちを脅し、学校へ行かせまいとしている。」

先のタリバン時代、少女たちが学校へ通うことは厳しく制限されていた。

今回は毒が使われたように思われた。アフガニスタンでこうした事件は多く、ビビハジェラ高校での出来事は、その年の六番目の事件だった。地域及び外国メディアは、犠牲者たちがストレッチャーで運ばれ、点滴につながれている、不安を掻き立てる映像を放映した。

ビビハジェラ高校の少女達の症状はすぐに消えた。何百個もの血液、尿、水のサンプルが検査されたが、結果はどれも異常なしだった。

この騒動の原因は、「集団心因性疾患」だったのだ。

プラセボ効果は体に良い影響を与えることを指しますが、このように心が体に悪影響を及ぼすことを「ノセボ効果」と言います。具合が悪くなるのではないかという、”恐怖心”が実際に体に現れたりします。”呪い”はまさに典型的な例であり、世界では黒魔術をかけられたと信じ込んだ人がどんどんと衰弱していったという例も珍しくはありません。

身近なことでは、健康診断の結果が悪いことを知って、急に調子が悪くなるとかもその類です。

実は薬の副作用もノセボ効果だったりもします。こんな実験がありました。

薬の副作用

イタリアの研究者たちが、心疾患にβ遮断薬アテノロールを処方された96名の男性を追跡調査した。ある群は服用している薬が何なのか知らされず、もう片方の群は薬について、「勃起不全が起こるかもしれない」と伝えられた。この副作用が現れた患者の割合は3.1%と31.2%だった。

私自身、花粉症ですが、薬を飲むと睡魔にいつも襲われます。それも実はノセボ効果ではないかと疑っています。

 プラセボが起こる時、体の中では何が起こっているのか?

直接関係のない薬で病が治る、していない手術で痛みが消える、心の作用によって副作用に襲われる。その時、体の中では一体どのような反応は何が起こっているのでしょうか?

パーキンソン病プラセボを使った例

パーキンソン病の方に脳スキャン画像を見てもらう。本物の薬を飲んだ場合はドーパミンであふれる画像が見られる。

本物の薬を飲んだと思ってプラセボを飲んだ場合、同様の結果が得られた。

また、信じる心が生理学的に本物の薬の効果と全く同じ反応を示した。

 高山病を防ぐ例

高山病は酸素の欠乏によって起こる。症状はめまい、吐き気、頭痛などがある。

標高三千五百メートルの所で、ステッパーで運動している男性の血中酸素飽和度は80%(血中酸素飽和度(SpO2)とは、心臓から全身に運ばれる血液(動脈血)の中を流れている赤血球に含まれるヘモグロビンの何%に酸素が結合しているか、皮膚を通して(経皮的に)調べた値。通常97〜99%)彼は15分ステッパーを踏むと酸素マスクをつける。ボンベは空なのに、彼は酸素だと信じたただの空気を吸うと楽になるという。

この時、脳内では産生されるプロスタグランジンの濃度は低下し、血管拡張状態が緩和されていた。(プロスタグランジンは酸素を細胞に多く取り込むための血管拡張作用などに関与 これにより頭痛、吐き気、めまいが引き起こされると考えられる)

血中酸素飽和度の数値は変わらなかった。

この結果から、脳内の物質への効果はプラセボで期待できる。しかし、流石に体内に十分の量が無い酸素を増やすことは出来ない。

痛みに対しての例

口腔外科手術後に強力な鎮痛剤だと言って、生理食塩水を注射した症例の3分の1以上が痛みが著しく緩和された。その後、エンドルフィンを阻害する薬ナロキソンを投与した所、痛みがぶり返した。

エンドルフィンとは脳内で産生される、天然の鎮痛剤として作用される分子。モルヒネやヘロインと同じ化学物質群に属す強力な脳内麻薬である。 

これらの例のように、何の関係のない物を取り入れても、実際に体の中では信じた変化が起こるのです。

 プラセボだと分かっていても効果あり!?

ここまでの話は「本物だと信じて」に対しての効果でしたが、普段試そうとしても、倫理的に難しい場面も多いと思います。

しかし、ただのラムネと分かっていたとしても効果があるとしたら。

過敏性腸症候群に悩まされていた例

胃腸外科で薬を渡された時の説明が「この薬は有効成分が一切入っていないプラセボです」と説明されて1日に2回カプセルを飲んだ。馬鹿げていると思いながらも、切羽詰まって従った。すると、驚くべきことに数日後から効果が現れ、症状が治ったという。

過敏性腸症候群はストレスや不安などが原因とも言われています。そう言った面で効果は高かったのかもしれません。この他にも、うつ病や偏頭痛の方に対しても、同じようにプラセボと分かって服用しても効果が現れたとの報告もあるようです。

 

 痛みに対してプラセボができる事

痛みとは傷など患部にのみ問題があれば、そこが治れば痛みも消えてしまうのが自然です。しかし、傷が治らない場合や、患部自体に問題がなくても痛みが消えないことが多くあります。それらに対し、プラセボの効果が非常に有効であった事例がありますので、紹介いたします。

バーチャルリアリティVR)を使った痛みのコントロール

サム・ブラウン中尉は体の大部分に第三度熱傷を負っていた。皮膚全層熱唱とも呼ばれる第三度熱傷は、皮膚の全ての層を破壊する。何度も手術をし、毎日壊死組織を看護師たちが洗い流した。それは、もう一度焼かれるような痛みだった。理学療法士によるリハビリが始まると、瘢痕組織を引き延ばし、引き裂かれ、今まで以上の痛みを彼は味わうこととなった。

過酷な創部ケアと理学療法を乗り越えるために多くの火傷患者は医療分野における最大量のオピオイド鎮痛剤を投与される。安全投与料の上限まで使用しても、苦痛に喘ぐ患者は多く、さらに長期間使用すれば依存性になる危険がある。

米国ではオピオイド処方薬の世界供給量80%を消費している(世界人口の5%に満たない国が)2012年までに、処方薬の過剰摂取で毎年1万5千人のアメリカ人が、死亡している。依存性のある鎮痛剤の処方量をどんどん増やすのではなく、別の方法があると主張する研究者もいる。彼らが活用しているのは、薬の量を減らし、痛みを緩和する「幻想の力」だ。

疼痛実験ラボでは身体の一部に急速に熱を加え痛みを与える装置で実験が行われた。痛みと不快感の数値が10段階のうち6を示した所、ズキズキする灼熱感、これが実験で使用する温度となる。VRゴーグルとヘッドホンをつけ雪の世界で雪だるまとペンギン相手に10分ほど過ごしている間に、3度温度を先ほどよりあげた。その後スコアをつけてもらうと、痛みは6→5、不快感は6→2へと劇的に下がった。「脳が意識的に何かに注意を向けられる能力は決まっている。注意を向ける対象は選ぶことができる」このラボの責任者である麻酔医サム・シャラるは言う。

このVRの世界(スノーワールド)をブラウン中尉を含む12名のブルック陸軍病院の兵士を対象に臨床試験を行なった。理学療法中にスノーワールドに没頭すると、最悪の痛みのスコアがそれなしのセッションと比べ、二段階近く下がった。痛みについて考える時間の割合は、76%から22%に下がった。通常の理学療法に対する評価は「全く面白くない」だったが、スノーワールドを併用した場合の評価は「とても面白い」だった。

 催眠療法で痛みを和らげる

心理学者デビット・パターソンは30年間、熱傷患者と外傷患者に取り組みながら鎮痛剤以上に痛みを和らげる非薬物的な方法を探してきた。スノーワールドには短時間の大きな効果があるが、ゴーグルを外した途端、それは消えてしまう。そこでパターソンが更に研究しているのは、催眠術によるポジティブな暗示によって、より長い時間、痛みを軽減させ、回復を支援する方法だ。

重い熱傷を負った60代の男性患者が創部ケアに非常に苦しんでいた。パターソンはその患者に催眠術をかけてみた。創部ケアの時間に、看護師たちに肩を触れられると、男性がトランス状態に入るという内容だった。看護師たちは驚いた。創部ケアの時間に肩を触ると、患者はなんと眠り込んだからだ。その後、脳スキャンにより、催眠術による痛みを和らげる暗示が、痛みの知覚に関連する脳の領域に影響を与えることが明らかになっている。そして、いくつかの小規模な無作為化対照試験により、従来の治療に催眠術を加えることで、幅広い疾患における慢性及び急性の痛みが著しく軽減させることが示唆されている。

 信じられない内容かもしれませんが実際に起こっている内容です。これらが示す多くのことは、痛みを起こしているのは、問題のある箇所そのものではなく、脳による身体部位の認識の仕方だということです。

 

人から受けるプラセボ効果

薬だけではなく、医師や治療者からの影響も私たちは受けやすいのです。

こんな研究がありました。

過敏性腸症候群の患者262名を対象に行なった試験。治療を受けない群と礼儀正しいが無口で冷淡な治療者からプラセボ治療を受けた群、心優しく思いやりのある治療者からプラセボ治療を受けた群。

実験後に「十分な軽快」があったのは、

治療を受けない群 28%

礼儀正しいが無口で冷淡な治療者からプラセボ治療を受けた群 44%

優しく思いやりのある治療者からプラセボ治療を受けた群 62%

 この62%という数字は、過敏性腸症候群を対象に行なったあらゆる治療の中で、最大レベルの効果だ。

この結果から、治療者と患者とのやりとりは、大変重要であり、効果に直接的につながる事が示されました。 安心でき、信頼できる事が治療にあたっては、大変重要なのです。

 

健康と社会的つながりの相関性

健康とは病気にならずに寿命が長い事とすると、それに対するエビデンスは食事が一般的にあります。

それ以外の方法として社会とのつながりが健康と相関があるとしたらどうでしょうか。

長寿の秘訣は家族との絆

コスタリカ北西部にあるニコヤ半島は、地球でも特に美しい場所の一つだ。そこに住むニコヤ人たちは平均寿命が長い事で注目を集めている。一般的に長生きするのは豊かな国の人たちだが、ここはそうではない。幼少期の感染症や偶発事故を生き延びれば、極めて長生きすることがわかっている。長寿の決定的要因は見つけられずにいた。もちろん遺伝子レベルでもない。ニコヤの人たちが他の土地へ転居すると長生きしないからだ。

他のコスタリカ人と比べてわかってきた違いがある。それはニコヤの人達に独り暮らしは少なく、子どもと毎週会う傾向が強い。また、家族に対する心理的愛着が非常に大きい。たとえ貧しくても、強い社会的な絆が彼らの若さを(テロメアを長く)維持させているのだ。

子どもと会う機会を増やせば健康寿命の延長が図れるとしたらどうでしょう。あなたが親と会うだけで健康にさせている。逆を言えば、あなたが親と会わないだけで親を不健康にさせているようにも考えられます。週に一回顔を見せてあげてばどうですか。

つながりが健康長寿の鍵

1950年代、ミシガン大学の疫学者ジェームズ・ハウスが都市全体の健康を追跡する調査を行った。1982年に追跡調査の結果、衝撃的な発表をした。年齢など危険因子を調整したあと、社会的なつながりや活動が少ないと答えた成人は、今後10年間に死亡する傾向がおよそ2倍になった。

社会からの孤立は、肥満、運動不足、喫煙と同じくらい、健康に害を及ぼすと発表された。

2010年、米国の研究者たちは、30万8千名以上を追跡した148件の研究を分析し、強い社会的な絆がなければ、あらゆる原因による死のリスクが2倍になるという結論を出した。

コミュニティが重要視される昨今、人は本能的に誰かと一緒にいる事を求めているのだと思います。それは何より健康を左右する大きな要因である事が、この事から言えるのだと思います。↓こんなニュースもありました。

toyokeizai.net

孤独から生じる脳の変化

孤独が健康に影響を及ぼす事はわかったと思いますが、体にはどのような変化を及ぼすのでしょうか。

脳スキャン実験から以下の事がわかりました。

周りから拒絶されたり、疎外感を抱いたりすると、体に痛みを感じた時と同じように脳内のある領域が活性化する。

孤独を感じると人は、痛みと同じストレスが脳内にかかり続けるということです。また、慢性的な孤独は、社会的交流を否定的に捉え、他者を信頼することなく、厳しく評価する傾向があり、悪循環に陥りやすくもなります。

また脳内の変化だけでなく孤独はDNAにまで伝わるといいます。それはなんと免疫系にまで作用するという事です。

孤独は傷を治し、繋がりは免疫力をあげる

数年間孤独を感じてきた8名と、良い友人を持ち、社会的な支援を受けていると答えた6名の血液サンプルから免疫系白血球に焦点をあて比較した。孤独な人たちの発現が亢進された遺伝子の大部分が炎症に関与し、発現を抑制された遺伝子の多くが抗ウイルス反応と抗体産生に関与していた。社会的つながりのある人たちはその逆であった。

孤独の方は傷を治すことに力を注ぎ、社会的な繋がりの方は免疫系をあげる。これは理にかなった進化と考えられている。なぜなら、孤独な方は的に襲われ、身体的な攻撃を受けるリスクが高く、社会的つながりのある方はウイルス感染にみまわれやすい。ただ、現代社会では炎症系の遺伝子が活性化することは慢性炎症になりやすく、ウイルス感染や顔にも罹りやすくなってしまう。

社会的なつながりは免疫力を上げている可能性があるということです。風邪予防には孤独じゃないことも大事なのかもしれません。

「必要とされる」ことが高齢者を長生きさせる

イクスペリエンス・コープスというプロジェクトの中に、高齢者たちに週15時間、貧困地区の小学校で子供が本を読む手助けをするボランティアをしてもらった。その際に高齢者には「あなた方が必要だ、あなた方の知恵と経験が欲しい」と訴えた。その年度中通ってもらったが、様々な変化を高齢者たちにもたらした。脚力は向上し、認識能力検査の成績も上がり、前頭前皮質の活動も増えた。また、海馬も拡大していたという。

高齢者のケアの仕方について、できない事を手助けするのではなく、その能力を活用にする事で、高齢者を若返らせ健康にするのではないか。

役割を与え、社会との繋がりを持つことが何よりも健康の秘訣なのかもしれません。

 

いくつになっても働き続ける事が自分の体を若く保つことにつながるのではないでしょうか。

ニューヨークタイムズの中でも以下の記事が紹介されていました。

toyokeizai.net

 

 

神は病を治してくれるのか

 宗教と病の関係については昔から多くのことが言われています。

キリストは多くの人を病から救ってきしました。信仰深く、お布施を多く納めてきた方がガンから救われたという話もあるでしょう。一方何の信仰も持たずとも元気で長生きしている人もたくさんいます。

 果たして、信仰は何の根拠もないものなのでしょうか?

 もともと信仰深い人は飲酒や喫煙をしない方も多く、食事は質素であり、健康的な生活をしている方が多いです。それもあって健康的に見える部分もあるかもしれません。そういった意味では信仰心は健康に大きな影響を与えていると言えます。

 また、神を信じることでストレスレベルを下げることもあります。しかし、信じた神に見放された瞬間にストレスレベルが上がることもあります。ストレスはご存知の通り、健康への影響は大きくあり、信仰心が与える影響は表裏一体なのです。

しかし、これらだけではない心身への影響が宗教活動にはあるのです。

宗教儀式がもたらすもの

宗教には祈るなど、儀式的なことがあります。この行動はたとえ1人で行ったとしても、他者との繋がりがそこにはあります。上で述べましたが、人との社会的つながりは健康寿命に関わります。教会など同じ場所で同じ時間を共有することは、大きく強い繋がりを生みます。それが心身への影響を及ぼしているのだと思います。

病気や障害を持った人が求めているもの

上記のような内容はあるものの、宗教が科学的に病を治すとは言い切れません。むしろ、治ったという方は極々一部であり、多くの方は病は治りません。しかし、それでも多くの人は信仰心を断つことはなく、一生涯祈り続けます。そこにはどのような心的状況があるのでしょうか。

皆様は「ルルド」という場所をご存知でしょうか。フランスの小さな町ルルドには毎年500万人以上の人たちが魂と体の癒しを求めてやってきます。詳しくは↓どうぞ。

ルルドの聖母 - Wikipedia

そこに通う人たちの興味深い話があるので紹介いたします。

重度の障害を持つ2人の子の母親はこう言う。

「隣人たちは、2人が愛に満ちた人間だとわかってくれません。ただ、車椅子だけに目を向けて。でも、ここでは、みんながあの子たちを歓迎し、愛してくれます。」

また、母親自身も救われているという。「家にいる時はどこにも行けません。二台の車椅子を同時に押せないから」巡礼の時が叶女の唯一の休暇なのだ。「ここ以外に私の人生はありません。ここではひとりの人間になれるんです。子供たちの誕生以来、誰からも存在を忘れられて。でも、ここにいる時は、自分で自分の存在を感じられます。マリア様が私の存在に気付いてくださっているんです。」

彼女曰く、ルルドから帰るときには肩の荷が降りているという。

肉腫を持つ47歳の女性に話を聞くと、「故郷ではミサなんて単なる儀式みたいなもので、誰も本気にしていない。でも、ここでは見せかけじゃない。まるで何千人もの人たちが、あなたが元気でいられるように祈っている感じね。」

また、どの巡礼者も言っている事がある。十代のヘルパーから上級医師にいたる、ここのボランティアたちが与えてくれる気遣いと支援のことについてだ。誰もが敬意を持って扱ってくれると。

ここでは、病人も健康な人も、誰もが平等であり、故郷で何をしているかは関係ない。

病人や障害を持った方は、その瞬間にそういった目で見られてしまいます。診断結果による判別をされてしまうわけです。人々は病人や障害を持った方々を個人ではなく、枠組みをつけて接することになるのです。この事が精神的なストレスや孤独感を感じさせてしまい、病気とは別に人々を不健康にさせているのかもしれません。

プラセボ効果」の可能性に対して期待する理由

プラセボの大きなメリットは薬を減らせることです。

薬には期待する効果の裏に副作用があります。

効果の高い薬や難治性の病に対する薬には劇薬と呼ばれるものもあり、

副作用によって苦しめられる方も少なくありません。

また、薬に対する耐性もでき、長い期間服用すると、薬の量は増えてしまいます。

そういった方へ、薬を減らす。または服用しなくても高い効果を示す事が、健康にとっては良いのです。

(「薬は飲まくて良い!」とは言ってません。必要な薬は最低限にしましょうという事です。)

薬を減らす事は医療費の削減を意味します。今まで紹介してきた内容(具体的なプラセボ効果を引き出す方法)が世に広まらないのは信憑性とは別に、大きな力が働いているとしたら、、、。信じるか信じないかはあなた次第ですと最後に言い残しておきましょう。

 おわりに 

医療において、私は根っからのエビデンス医療派であり、現時点で最も科学的根拠のある標準医療が適切だと思っています。

しかし、代替医療においてはその付き合い方を、しっかり考えて使う事は今回”あり”だと考えを改めています。

心が体に影響を及ぼすことは、間違いありません。問題なのは、従来の治療を拒み、代替医療を選び、体に悪影響を及ぼしていることや死亡する方は今でも多くいます。

ここに私は悪意のある無しは関係ないと思っています。何を信じるかは個人の自由かもしれません。しかし、それを人に勧めることによって、間接的に人を殺めているという事実もあるのです。

これを読んでいるあなたは、代替医療などの健康情報には批判的に受け止め、自分の力で考えること、そして自分の脳と体を信じること(つづけても効果がない、またはかえって辛くなるなど)を強く強くお勧めします。

 

参考図書はこちらです↓

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