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理学療法士のoutputブログ

理学療法とは何かを考える。(理学療法士の本音)

進路を悩む高校生で興味のある方や、今の仕事から理学療法士を目指す社会人の方々など。

また、実際にリハビリを受けている方や、そのご家族の方に、理学療法とは何か?を伝えれらたらと思います。

 

 

「リハビリ」という言葉は一般的になりつつありますが、

理学療法ってまだまだ一般的ではない言葉だと思います。

 

理学療法」ってなんでしょうか?

 

 

理学療法士って仕事はなんですか?

理学療法士の仕事は楽しいですか?

理学療法士になって10年

仕事について、正直に言います。

 

「めちゃくちゃ楽しい」です。

 

楽しい理由を箇条書きでまとめます。

・「ありがとう」「動きやすくなった」「痛みが取れた、楽になった」など、直接的に感謝してもらえる。

・色々な方法により、人体が色々な反応を示す。常に新しい発見を感じられる。

・医療は日進月歩であり、日々新しい情報を学ぶ機会が多い。

・勉強をすれば、それだけ結果がでる事も多い。

理学療法についての講習会や書籍は多くあり、学ぼうと思えばいつでも色々と学べる。

 

 

人に直接感謝される仕事って少ないなと思います。

サービス業の中でも、限られているのではないかなと思います。

毎日のように感謝の言葉をいただいてますが、本当にありがたいです。

「人の為に役立っている」事で、自分の存在がしっかりここにある事を実感できます。

 

あとは、常に新しい発見が見つけられます。

年を重ねると、だんだんと生活している中で、新しく学ぶことって少なくなってくると思います。

医療はまだまだ分からないことだらけであり、常に情報が更新されています。

だからこそ、新しく学ぶことは多いですし、それを実際に患者様に実践することで、新たな反応が得られることは本当に楽しいです。

好奇心を持って、仕事ができることは私にとって幸せです。

 

仕事内容について

今の私の勤務環境ですが、

・場所:病院、デイケア

・仕事内容:病院とデイケアのリハビリ、書類作成、寝たきりの方の褥瘡予防のポジショニングの検討、病棟とのカンファレンス が主になります。

・勤務時間:9:00〜17:30(休憩中は昼食、雑談、読書か筋トレ)

ざっくりとこんな感じです。

 

リハビリテーションとはなんですか?

リハビリテーションという言葉は耳にした事も多いと思います。

リハビリテーションとは何か?ですが、

[概要]

リハビリテーションの語源はラテン語で、re(再び)+ habilis(適した)、すなわち「再び適した状態になること」「本来あるべき状態への回復」などの意味を持つ。また、猿人原人の中間に意味するホモ・ハビリス(homo habilis、「器用なヒト」)が、道具を使い人間にふさわしいという意味でも用いられ、適応、有能、役立つ、生きるなどの意味も含有し、リハビリテーションの語源ともいわれている。他に「権利の回復、復権」「犯罪者の社会復帰」などからの意味合いがある。なお、ヨーロッパにおいては「教会からの破門を取り消され、復権すること」も意味している。このように欧米ではリハビリテーションという言葉は非常に広い意味で用いられている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/リハビリテーションより引用

      

 という事です。

「再び適した状態になる事」

この言葉が、私が学生の頃から、リハビリとは何か?でキーワードとなる部分と思っています。

WHO(世界保健機関)による定義 1981年

リハビリテーションは、能力低下やその状態を改善し、障害者の社会的統合を達成するためのあらゆる手段を含んでいる。リハビリテーションは障害者が環境に適応するための訓練を行うばかりでなく、障害者の社会的統合を促す全体として環境や社会に手を加えることも目的とする。そして、障害者自身・家族・そして彼らの住んでいる地域社会が、リハビリテーションに関するサービスの計画と実行に関わり合わなければならない。

https://ja.wikipedia.org/wiki/リハビリテーションより引用

つまりは、

障がい者が社会に再び戻る為に、

本人に訓練を行うこと

それと同じように、その方を取り巻く家族や地域社会も理解と改善を行い、障がい者の社会復帰を目指しなさいよ。

って事です。

 

リハビリ職がすべき事は

何らかの障害を持って不自由になった方が、再び普段通りに過ごせる状態を、新たに創ることだと思っています。

 

マッサージは得意ですが、マッサージ師ではありません。

 

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リハビリのイメージ

だいたいリハビリのイメージはこれになると思うのですが、

寝て、手足揉んだり、動かしたりをしていますけど、

リハビリはマッサージ師とは違います。

 

「マッサージお願いします。」なんて事はよく言われるのですが、それは少し違います。

 

マッサージやストレッチなどはやりますし、ある程度は得意なんですが、それだけじゃない!むしろそれ以外がメインなんだよ!と強く言いたいのです。

 

理学療法士及び作業療法士法」第2条には、

「身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう」

と確かにマッサージの言葉が使われているのですが、

 

 

日本理学療法士協会のホームページには

理学療法とは

病気、けが、高齢、障害などによって運動機能が低下した状態にある人々に対し、運動機能の維持・改善を目的に運動、温熱、電気、水、光線などの物理的手段を用いて行われる治療法です。

 

とマッサージの言葉がありません。

マッサージはもう理学療法としては、ある種、認められてはいないのです。

ちなみに理学療法士及び作業療法士法」は昭和40年に制定されてから、変わっていません。(と思います。)

 

日本理学療法士協会のページもぜひ参考に見て頂きたいのでお願いします。

ちなみに、養成校一覧も「一般の方へ」→「理学療法士になるには」→「養成校一覧」で見れます。

www.japanpt.or.jp

 

理学療法とは何か?

もしも、病気や怪我が手術やリハビリで全て良くなればいう事はありません。

歩けない人が歩けるように、自分で食事ができなくなった人が自分でまた食べられるように、喋れない人が喋れるように、そうなれば良いですし、まずは全力でそこに向かうべきだと思います。

 

しかし、全ての病気や怪我が元通りに治るわけではありません。

ではどうするのか?

理学療法とは、とにかく「障がい」を、「障がい」だと思わせない事だと思います。

不自由があるから、障害であって、不自由でなくなれば良いのです。

できない事は何なのか?をまずは考えなくてはいけません。

 

もし、歩けなくて困っている方がいれば、歩けなくて何が困るのか?を考えます。歩けなくて家の中が自由に移動できない。となれば車椅子でも、何なら這ってでも良いと思います。いつまでたっても実用的ではなく、平行棒の中でしか歩けないのであれば、這うリハビリをした方が家の中での自由を場合によっては得られます。

 

自分でお箸を使って食べられないのであれば、手づかみでも良いではないですか。

 

うまく喋れない、伝えらないのであれば、コミュニケーションが必要な相手(家族など)に対しても、患者の表出を理解できるように訓練をしてもらわないといけないはずです。

 

必要なのは、

その方自身の目的は何か?

が大事です。

また、

それを支える家族や社会の理解を得ることが重要です。

 

障がいに対して本人が受け入れる事は難しいことでもあります。

 

それでも、「こんな病気になったけど、それがきっかけでここにも(デイケア)これたし、体もよくなったし、友達もできてよかったわ」と言ってくれる方もいます。

 

そういう風に思ってもらえるような形で関わり、何がその方にとって良いのかを考え、障害だけにとらわれず、その人の人生をトータルで見て考える。

 

それが理学療法と考えます。

ICF国際生活機能分類)という考え方も、私はそう解釈しています。

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ICF

ちなみにICF-CY Japan Network のサイトありましたので貼っておきます。

ICF-CY Japan Networkのサイトへようこそ! | ICF-CY Japan Network

 

その「人」を診ることが理学療法です。

 

理学療法作業療法の違いは?

言葉の違い

一般的に理学療法士の行うリハビリである「理学療法」は、障害や後遺症のある「部位」に注目し、運動療法物理療法日常生活活動 (ADL) といった手法を使用し、「基本的動作能力の回復」のために行うもので、反復運動が多い。

一方、作業療法士 (OT) の行うリハビリである作業療法は、次の段階である社会復帰に向けて行われるものである。理学療法士のリハビリで基本的動作が回復した患者に対し行われ、様々な作業の複合的動作バリエーションの中で機能回復を目指す。「創作活動」や「レクリエーション」、「生活活動」により「応用動作と社会的適応のための能力回復」つまり日常生活をスムーズに送るための複合的動作を可能とするためのものである。

https://ja.wikipedia.org/wiki/理学療法士 より引用

Wikipediaではこう書かれていました。

 

それぞれの名前の意味としては英語の方がわかりやすいです。

 

理学療法士physical therapist(PT) 

・「physical」は「身体の」「肉体の」

・「therapist 」は「療法士」

 

作業療法士occupational therapist(OT)

・「occupational」は「職業の」って訳すと出てきますが

 「occupation」は「作業」や「仕事」になります。

 

言葉だけで見ると、全然違いますね。 

 

リハビリ内容の違い

・病院で働いていた時には、

一人の患者様に理学療法士作業療法士が一名ずつ、つくことが多く

理学療法士が基本的な動作を行い(起き上がる、座る、立つ、歩くなど)

作業療法士が応用的な動作を練習する(トイレ、更衣、入浴、調理など)

そんなことでやっていました。

 

あとは、理学療法士は下肢がメインで、作業療法士は上肢がメインなどの違いでやっていました。

他に、作業療法士の方は精神疾患もメインに見ていました。

 

・介護分野(介護老人保健施設 通所リハビリ 訪問リハビリ)に移ると、正直リハビリ内容に違いは、ほとんどありませんでした。

一人の利用者様に対して、理学療法士作業療法士のどちらか一名しかつかないことがほとんどでした。

理学療法士が応用的な動作を見ますし、作業療法士が歩いたりもします。要求されます。

 

介護分野で働いた場合は特に理学療法士作業療法士

リハビリ内容の違いはほとんどありません。(個人的感想)

 

何が一番違うのか?

 

何が違うかというとズバリ

起源が違います。

 

起源が違えば何が違うのか?

学校で教わることで何が大切かというと

考え方です。

 

それが根本的に違います。

 

理学療法士の始まりは医療です。

その為に、障害を取り除くことや除痛をメインに生まれました。

だから、問題点を重視する考え方が根本にあります。

 

作業療法士の始まりは様々な職業の見地により学際的に発足

また、精神障害からスタートしています。

根本的な部分としては、障害を持った方が有意義な時間を過ごすことをメインとしています。

 

 

根本の考え方が違うので、時に相容れない部分も実は多かったりします。

 

大学の中で私は作業療法士のことについては深くは学びませんでした。

その為に、新人の頃は作業療法士のことを理解できておらず、意見が合わないこともありました。

何年かしてから、そのズレがこの歴史的な部分にあることを知り、そこからは作業療法士を理解することができ、お互いに尊重し合えるようになったと思います。

 

まずはお互いに知ることが大切です。

 

まとめ

 

理学療法とは目的を果たす為の最適な手段を提供することである。

理学療法作業療法はやってることは同じように見えても、根本的な考え方が実は違っている。それでもお互いのいいところを共有しあっていかないと、医療・介護どの分野でも困ることがある。

 

理学療法士理学療法について考えてみると、改めてこの仕事の難しさとやりがいを感じることができました。それでもやっぱり私にとっては「楽しい」と思える仕事であり、理学療法士になって良かったと思っています。

 

 

個人的感想が多くありましたが、本日も読んでいただき、ありがとうございました。

またのお越しをお待ちしております。